エアコンと畳部屋

昨日の疲れが出て、起床は正午をまたいだ。食欲もないまま、今日は実家で、1人過ごす。2階の畳部屋には大きなテレビと本棚があり、パソコンで作業する傍らコンサートDVDをかけたり、あるいは本を読んだり。クーラーの効いた涼しい空間で作業がはかどる。1冊の文庫本を読了した。

次は本棚にあるものを読んでみようと思い、ずらっと並ぶ、「ちくま日本文学全集」、父がいつの間にか買い揃えたそれらの中から、「永井荷風」のものを選んだ。このシリーズは著名な作家の作品から何篇かを収録したもので、馴染みのない人のものでも気軽に読み始められる。選び出すとはつまり本質を抜き取る、本で言えばその作者の持ち味がよく表れた文章を収録することだから、気兼ねなくその世界に飛び込んで、かつ「はずれのないもの」を読むことが出来る。永井荷風の文章も、抜粋以外のかたちで初めて体験する。

有名な「あめりか物語」、「ふらんす物語」からの収録が始めであったが、なんというか、難しい。文章が巧いことはわかるのだが、言えば「昔の言葉」への含蓄が自分に無いために、文章の羅列以上の意味合いを認識できないところがある。きっと、そうなるべきであろうという、情景が、浮かばない。「しっかり読めていないなぁ」という実感。悔しくなってきたので、「すみだ川」までは読み進められなかった。それまでの文章の中で、気になった表現だけをメモして終える。

現代文学はおおよそ理解できるつもりでいたが、数十年だけ年を遡ると全く手が出ない。そんな自分に腹が立ってくる。語彙を増やさねば、文法を広げねば、経験を積まねば。課題、目標がまた増えた。