エヴァと兵庫県立美術館、そしてまんだらけ(映画感想は後ろ別項目で)

朝、人と会わずの一日を思い浮かべてぼーっとしていたら、友人から「灘へ来い」とメールが来ました。そして、今月から公開されている映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を見に行こう、と。脊髄で「了解」と反応し、すぐさま駅へ急ぎ、見に行きました。
自分のいるところから、金額で見ると「三ノ宮」と「灘」は同じです。切符を買ってホームへ抜けるとき、自動改札ではなく駅員さんに渡すのですが、あろうことか手渡した切符を回収時に使う針を立てた奴にぶっ刺しました。おい何してくれてんだ。
「あっ、すみません」と駅員さんは困惑し、次にまた驚いたことに切符の穴の開いた部分の後ろ側にテープを貼り「これじゃあ改札を通れないから窓口で駅員さんに渡して……」と言った。待て待てそっちの過失で何故こっちが面倒を被らなければいけないんだ。少しいやそうな表情を作ってみると、「あぁ、もう発行しなおすわ」とすぐに代わりの切符(回数券とかの青く大き目のもの)を渡してくれました。いや、これくらいしてもらわないと、さすがにねぇ……。
三ノ宮に着くと新快速を下車し、灘行きに乗り換える必要があるのだが、どこに行っても良いか分からなかったので、向かいの電車に勘で飛び乗った。踏み切りをすこし躊躇している間に一度扉が閉まろうとしたけれど、先客が挟まれかけ、その拍子扉が開いたため決心して一気に乗り込んだ。運よく電車は灘へ向かって動き出した。
間もなく灘へ着き、連絡を取り、駅を出ようと改札へ切符を通しました。すると手前のバーは微動だにせず、代わりに切符が戻ってきました。「精算してください」と言われた。何をだ!?俺の今までの罪か!?いやでもそれだと駅の改札でするのもおかしいので、切符のことになるのだが、それについては問題ないはず。だって同じ金額だからおかしくは……と、ふと切符の字面を確認しました。


「 → 三ノ宮」


は、はいーッ!? なんでですかァー!! 俺別に三ノ宮行きなんて買ってないよ!


おかしい……と思い当たる節を考えていくと、あの「切符ぶっ刺し事件」に行き着いた。そういや再発行されたんだ。そしてそのときに、何故か自分が三ノ宮行きだと勝手に判断されたんだ。
そうなれば自分に非はない。強気な態度を弱気な姿勢に織り込んだ得意の話術で駅員さんを説得し、何とか通してもらいました。いやまぁ、「でも最初から灘へ行くつもりだったんです!」とか言ってただけだが。


今は灘に住む友人とも無事合流し、歩いてすぐ近くの「関西スーパー」へ。この大きな建物の中に目的の映画館はあった。とても大きな施設で、1日に14タイトルもの映画を上映するツワモノ。残念ながらパンフレットは売り切れていたが(即日完売だったらしい)、席はいいところを取れました。

映画は面白く(繰り返しになるけど感想は後述)、終了後も映画の話で盛り上がりながら、次は兵庫県立美術館へ行きました。今は企画展で「巨匠と出会う名画展」と題し、関西初の近代美術画(川村記念美術館所蔵)をたくさん置いているのです。芸術好きとしては行くしかない!

館内はなかなか人も多く、この展示の注目度の高さが感じられました。何せ開始から1月以上経っている。展示してある絵画もすばらしく、レンブラントやモネにシャガールマグリットピカソなど、さまざまな画家の絵がありました。こういった人たちの絵を実物で見るのは殆ど初めてでしたが、めちゃくちゃ凄かったです。筆致と言うか、息遣いが感じ取れるような臨場感があり、その絵が制作された時代的背景も漂わせた、まさに時代の結晶とも言えるような作品群。企画展らしくモダン・アートから前衛的美術(シュールリアリズムなど)、そして抽象美術やオブジェクト、ポップアートに至るまでの流れを汲んで配置してあり、またどれも細かい解説が付してあったので、それなりに知識を得ながら回っていけました。目玉のはずの尾形光琳の屏風絵が見られなかったのは残念でしたが、かの有名なマリリン・モンローポップアート(同じ顔写真をさまざまなパターンで彩色しているもの)も見られたし、その他たくさんの素晴らしい刺激を得られて大満足でした。キャンバスの風景に漂う不変性、永遠性。少しでも興味がある人は、是非是非。

さて、その後は友人がガンダムWのDVDボックスが欲しい、ということで、連れ立って帰る途中に三ノ宮に寄りました。神戸の街は行き交う人々がオシャレなので好きです。忘れかけそうになっていた感覚を取り戻せる。

しかし、そんな神戸の華々しさを裏切るように、我々はアニメメイトを筆頭とする店が並ぶマニアックプラザ(自分が勝手に呼んでいるだけ)へ向かいました。この建物の中のお店は、中古店でも同人誌を平気で買い取り売っているほど、一般人とは縁のないものばかりです。友人がブツを探している間、ぼーっとしていても仕方ないので、同人誌ショップ「まんだらけ」に入ってみました。大学の友人から色々教えてもらっているので、見聞きしたものとかがあるかなーと思ったのです。


境界の派手な入り口を抜けるとオタ国だった。腹の底が重くなった。新刊書にオタが止まった。


な、なんですかここは。思わず意味不明なことを口走ってしまったが(言うまでもなく川端康成『雪国』)、もう一度、なんですかここは。並べられた新刊書はセクシーを通り越してやらしー(寒)とも言うべき表紙のものばかりで、そして次々に出たり入ったりする客が手に取り、吟味する。自分が男だったから良かったものの、健全な女性が足を踏み入れると吐き気がするのではないか。こういうものばかりではあるまいと店内を一周してみるが、こういうものばかりだった。いや、成人向けが100%、ではなかったけれど、比率が極端だ。二次創作って、殆どエロですか?
まぁしかし内容や目的は置いといて、純粋に絵だけで見ると、すごく上手いものもいくつかありました。CGの塗りによるごまかしではなく、純粋にデッサン力が秀でているものや、市販のゲームのパッケージとタメを張れそうな、綺麗な塗りのもの。羨ましい画力だ。自分に艶やかな女性が描けないことはよく解っているので、本当に感心する。こういう人たちは今に至るまで、ひたすら女性の裸体を描き続けたのだろうか。描写なのか想像なのか。(いや、筋肉構造を知らないといけないから描写だろうが)どのくらい描けばこうなれるんだろう。別にそういう絵を描きたいわけではないが、描けるに越したことはない。参考として試しに一冊買ってみようかと思わなくもなかったが、そんなことをしてしまうともう戻ってこられない(普通の幸せな人生に)気がしたので、やめた。2次元に逃避してどうするんだ、俺。第一現実世界に絶望はしていないんだから。


その後は逃げるように……ではなく普通に帰りました。友人はアニメイトでDVDを見つけ、買おうとしたけれども、ここは全く値引きしないので「アマゾンで買え!」と言って諦めさせました。本当に色々あって疲れた1日でした。こんな細かさなら、mixiで書くべきだったか。