映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：序』

まず結論から言うと、「知らない人も、最寄とは言わず足の届く最高の劇場へ見に行こう！」ってところです。それくらいの作品でした。
一応自分は元のエヴァをＴＶシリーズ、映画版でも何度か見ているので、原作は把握しているつもりです。絵コンテ集も持っているので、大体は覚えています。新世紀エヴァンゲリオンに関しては、オタクと言われても否定はできない。個人的には大好きな作品です。
さて、今作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版：序』、これは全三作（全四部だが）の一作目にあたる作品で、原作の本当に序盤を描きなおしたものです。固有名詞を出すなら、「ヤシマ作戦」まで。では、ここから説明と言うか、映画の話を適当に。

まず、描写が丁寧になっています。密度を上げるため、間を切っているの場合も多いのですが、前はセリフで済ませていたような部分も映像で描写することで、伝え漏らすことなく、状況を説明できていました。戦闘まわりは特にそれが顕著。こうすることで、舞台となる場所の構造・デザインにも納得がいきます。冒頭からＳＦ全開ですが、見かけ倒しではないことが初めて見る人にも伝わるはず。心理描写は時間で言えば削られていますが、登場人物の心境を強調するようなセリフが散りばめられているため（というかそうやって強調しているため）、人間関係とか感情といったものは理解できました。ちなみに、名シーン、名台詞はそのままです。

次にストーリーですが、現段階ではそこまで変更はありません。起伏もなだらかで、観ていて十分ついていけるでしょう。伏線張りもギリギリ許せるかな。ただ、最後に流れる「次回予告」によると、次回はメチャクチャ変化がある、ここからが重要ですね。（ちなみに、変更はあまりないとは言え、重要な部分、ていうか順序に違いがありましたが）以降はストーリーテリングの腕の見せ所でしょう。今作のシナリオは十分満足のいくものでした。

次に絵です。ここはやはりスタッフの優秀さというべきか、圧倒されるものがあります。一枚絵でみた迫力も、動きでみる躍動感も別格もので、「スゲー」としか言いようがありませんでした。戦闘シーンフェチにはたまりませんなぁ！　敵である使徒も動きが多彩になっており、生物味が増していて良かったです。ＣＧが良い感じに活きている。

声優については言わずもがな、すばらしい演技だと思います。もう意識が逸れることなく、終始スクリーンに釘付け。他のいかにもな観客も同様だったでしょう。割と人がいたにも関わらず、静けさはついぞ破られませんでした。

さて、あんまり描いちゃうと観る楽しみが無くなってしまうので、このくらいで。当然、欠点もありますし（例えば“間”がないために敵と敵の間の休みが短すぎて不自然）、予備知識なしで観るには、少し厳しいものがあるでしょう。しかし、多少の人物名や概要さえ知っておけば、十分に楽しめる作品だと思います。初めての人も、再会の人も、何も考えずに、スクリーンに向かって欲しいです。面白かった！