私は大切なものを忘れていきました

今日は空も気持ちよく晴れ、実に佳き電車日和です(意味不明)。


朝に車で駅まで送ってもらい、2つの鞄を携えてさぁ山陽本線にお世話になりますかと。


数度の乗り換えを経て、いよいよ西条も間近。


そんなとき、母親からのメールが。



「もうそろそろ着く?」



時間帯的に職場(自営業のレストラン)が一番忙しいはずなのに、わざわざ心配してくれています。そういう気遣いを軽くあしらうわけにはいかない。こうなったらしっかりとメールを返そう。


この場合、自分だと、
「もうすぐ着くよ」
「今着きました」
「ちょっと前に着きました」
という過去・現在・未来の3パターンが考えられます。



メールは西条到着直前に届き、「もうそろそろ着く?」と聞いている。今自分は電車の中。


となると、「もうすぐ着くよ」は完全な答えではない。何故なら「家に帰るまでが遠足」然り、やはり電車が駅に着かないと、「着く」とは言い切れないからだ。メールを送ったその直後に何か事故があるやも知れぬ。


「ちょっと前に着きました」もよろしくない。
だって、まだ着いてないし。未来のことを言うと鬼が笑うよ。(正確には“来年のこと”)
真実でないことを言うのもちょっと気が引ける。かといって駅に到着してから「ちょっと前に着きました」だと、「それなら着いたときにそっちが連絡よこせよ」って気持ちになる。親は忙しいときにメールくれてるのに。


ならもう残るは1つ。
電車が西条駅に到着した瞬間に「今着きました」との文面を発信する。
これしかない。



やがて電車はゆるやかに速度を落とし、プラットホームに身を寄せた。すぐさま立ち上がり、用意しておいたメールを一瞥して「送信」ボタンを押す。そして、ドアが閉まる前に急いで降りた。


さぁ、これで故郷ともしばらくおさらばだ。これからまた西条で頑張ろう。


まずは預かり所から自転車を引き取り、お家に帰ろう。


自転車置き場に到着。


自分の自転車を降ろし、荷物を載せようとする。



違和感。



あれ、何か今日の俺、荷物が少ないな。


いつもの下げ鞄だけじゃん。


こんなか何が入ってたっけ。


そうだ。サイフと携帯と本とDSだ。


あれ、着替えと充電器と向こうで買ったゲームはどうしたっけ。




“カタタン……カタタン……”




………………


…………


……





あぁぁぁあああぁぃぁあぁあぅぁっっっ!!!!!!!!!





鞄1個置き去りにしてたーーーーー!!!!!





さっきの音はまさに鞄を載せた電車が西条から解き放たれる音! 俺の夢とか希望が目論見とは裏腹に西へ西へと追いやられる音!



誰か助けてくれぇぇぇぇ!!!



とりあえずダッシュで窓口へ。「ごめんなさい荷物置き去りにしてしまいましたもうしません許してくださいごめんなさい」などと早口でまくし立て、対応してもらいました。


荷物の特徴などを書類にしたため、とりあえず向こうで確認して貰うことに。


時間がかかるということなので、とりあえず解放。またくれるという電話を頼みに、とりあえず自分は大学へ行くことにしました。途中、「なんでこういらない気遣いをするばっかりに(しかもさり気なすぎていつも誰にも気付いて貰えない)、損を被るんだ。バカだろ」と自分を罵ったことを白状しておきます。



さて、大学に向かったのは、件の「工学部課程配属」がどうなったかを確認するためでです。


簡単に説明しておくと、広島大学工学部第二類は二年次に専門科目の課程分けを行う。電気電子やら情報やら4つ。


自分は「情報工学課程」を希望。


しかし、どうも今年はこのコースが人気らしい。


募集が集中したところは成績順に決まる。


未だに「なんちゃって理系」を抜け出せない自分は、理系科目に足を引っ張られて成績がそれほど優れているとは言い難い……。


不安。


実は、もう駄目だなと諦めて、この後の自分を慰めようと「ロストオデッセイ」とかゲームを買って用意していました。訳の分からないところで用意周到ですね。



しかしその「ロストオデッセイ」も今頃は電車の網棚で上下左右に揺れながら旅を続けている。



千年どころではない。(←ゲームネタ)


どうしよう。既に辛い気持ちになっているのにその上で課程配属が希望する結果じゃなかったら……どうすればいいんだ。



しかし不意に吹っ切れて、「もういい、駄目だったら思案橋から身投げしてやる」と腹を括り(思案橋は広大キャンパス内に存在する橋)、ずんずんと掲示板に向かって前進。



見る。



……「情報工学課程」だった。



あーーー!! 希望通りだったーーー!!!



まさかのサプライズ。本当に諦めていたので、びっくりしました。


鞄のマイナスな1件が、この出来事で覆される。


そうか、よかった本当に……と安堵し、やっと心も平安を取り戻してきました。


鞄、すぐ近くの駅で見つかってるだろうな。そこの「忘れ物センター」に放り込まれているだろうから、これから自分で電車に乗り、すっと取りに行けば万事解決だろうな。(向こうからこちらの駅まで送ってもらうには2、3日かかってしまう)


しかし待てどもJRから連絡が来ないので、心配になって駅まで足を運びました。



窓口で問い合わせたところ、「無事、見つかった」との報告が!!



おっしゃ! 後は取りに行くだけだ!



早速「えっと、……その鞄はどこで保護されたんでしょう?」と尋ねる。
すぐに申し出たんだ。多分広島駅に置いてあるんだろう。


すると、




「岩国です」




……へ?




岩国だとぉぉぉっおおお!!!!?



電車で一時間半かかるんですけど!!
運賃往復で2560円するんですけど!!



行けるかッ!!!



もうセルフ引き取りは諦め、鞄は明日、広島駅まで送ってもらう事にしました。(西条だと明日には無理らしい)アクリル水彩同好会の学外展の受付をやらせてもらうので、どちらにしろ市内まで行くのです。


結果的には問題ないけれど、ちょっと疲れました……。
荷物見つからなかったら中の服だけでも3万円近く失う計算……怖い怖い。


つくづく自分はアホだなぁと思ったり、だけど課程配属でハッピーだったり、よく分からない1日でした。やっぱり自分はセルフトラブルメーカーだな……。