自分なりの表現者

▼ついでに、絵を描く人間などについて自分が思うことを。


ひとつ、人間は「創作をするかしないか」で大きく分けることが出来ると思うのですが、サークルに入って改めて実感したこと。


絵を描く人間は、同じく絵を描く人間を察知できる。


やっぱり、みんな、纏っているものが普通と違う(良い意味でも悪い意味でもなく)。
そしてそれは、「普通と違う点で共通」しているのです。


だからこそ、ある種のコミュニティが形成されるかの如く、創作に身を置く人間たちがふらりと集まってくる。ただサークルというのはたくさんあるわけで、それらのふるいにかけられて、絵を描く人間が、ぽとん、とアクリル水彩同好会の前に落ちてくる。そういう感じで、気が付いたら人が集まっています。(もちろん、こちらも“察知”したら声を掛けますよ……)
本当に面白いなぁ、と思います。


▼それからもうひとつ。


絵を描いたり、とにかく「表現をしたい!」という欲求をずんと抱えている人間からすれば、そういうものに全く興味がない人が不思議。(きっと自分だけではないはずだ……!)
「え? なんで描かないの? 心に浮かんでくる何かが、あるでしょう」とか思います。絵を描かない、文章を書かない、写真を撮らない、芝居をしない、作曲や演奏をしない……うーん、不思議。(そしてそれは向こうも同じだろう)
もしかしたらスポーツなどで身体を動かすことが自己表現なのかなぁ、と思ったりもしますが、別にスポーツも好きではない、って人もいる。むぅぅ。


表現……自分は、絵を描く、文章を書く、写真を撮る、ということを昔から続けています。ていうか、少しそれらから遠ざかっていても、急に「描きたい!」というような欲求に駆られてしまいます。表現しないと気が狂いそうになることもたまーに……。技術はろくに無いくせに……。


それから、素晴らしい絵画を目にすると、創作意欲に稲妻が走り、かっと一気に何かを表現したくなります。絵を見たから単に絵を描きたくなるのではなく、その時の感情をカメラを用いて被写体に委ねようとするときもありますし、また秀でた文章に触れてから、発露した感情の一端を絵に描き表そうともします。
アクリルの友達に聞いても、それは頷いて貰えたり。


▼睡眠は一日の記憶の整理と言えますが、もしかすると妄想は創作意欲の整理なのかもしれないなぁ、ってたまに思うのです。


絵を描く人間は妄想癖がある、あるいは素晴らしい妄想力を持った人が多いと思います。(サークルはみなさん強者です)あるいはフェティシズムに正直と言えるのかもしれませんが、絵を描く人間は心の中の変なところが剥き出しだったりします。


そして、絵を描いて、作品を完成させてその達成感を存分に味わう、そういう楽しみ方をやはりしますが、描いてるときの、それも、下絵の作業の好きな人が多いようです。つまり、輪郭を作り上げる過程ですね。


「神は細部に宿る」という至言がありますが、こういう絵の作業の時、必死にこだわりを貫いている自分に宿るものは、もしかすると「本来の自分自身」なのかもしれません。


だからこそ、絵というのはとても正直で、描いた人の性格が読み取れます。色んな表情が混じり合っている分、鏡よりも正確と言えるでしょう。
作品展に行って思いましたが、写真も同様ですね。撮った人の人格がなんとなく分かる気がしました。


▼ひとえに自分が表現という行為を好むのは、「最初から最後まで自分の意見を貫くことができるから」。
例えば数学の問題だと、答え合わせをしないといけないじゃないですか? それはつまり、自分が書き上げたものを、必ず何かと照らし合わせないといけないということ。
絵は違います。自分が「これで完成だ」と思えば完成です(文章もそうだし、写真なんてシャッターを押した瞬間に終了するし)。それから誰かの作品と見比べて「ここの色遣いはどうだ」などと考える必要は全くない。臨むのなら、自分以外の全員の意見を拒むことさえ出来ます。究極のワンマンです。(いや、別にワンマンを好むわけじゃないですが)


だから、受験勉強の時は創作意欲がやばかったですね。メチャクチャ描きたかったですね。解いた問題解いた問題それら全てを答と比べる毎日。地獄でした……。


▼結論も何も下しようがないですが、なんとなく、自分なりの「表現者」について書きつづってみました。


創作という欲求を持っているからといって、時間があればいつも絵を描いているのかと言えば実は全然そうでなく、むしろ「あんまりたくさん描きたくはない」という人が多いのですが、でも気が付いたら絵を描いちゃったりするのが絵描きの常です。
展示会をするから絵を描けと言われてもギリギリまで筆を執らない人がいっぱい……。
でもみんな、素晴らしいほどに「自分の世界」を表現するんですよ。
そういうギャップがまた、面白いんです。
そしてときには普段の言動・行動からは全く予想のつかない絵を描いたり。それもまた、良し。