大学祭・1日目 (とりあえず文章版)

諸事情で自転車が使えないため(後日絵日記として描くかな)、大学へは徒歩で行くことになっている。集合が早いため起きてすぐに家を出ないといけないのだが、支度をするときにそれは不可能だと分かった。
髪の毛が風車のようになっていたのである。
吹けば回るのだろうか。こんな状態でファッションも何もあったものではない。死ぬ気で修正した。
結局、出発は集合5分前。走る。


20分遅れで到着、ちょっといじられたりしながら絵の展示準備に加わる。ウチのサークルは自分を除いてみんなメチャクチャ絵が上手いので、作品をひとつひとつ見る度にため息が出る。もうこれ教室一つとかじゃなくて、建物の階を一つ使いたいよ! 作品数は美術部よりも多いし、この際サークルじゃなくて部でも良いよ!「アクリル水彩同好会“部”」とか。同好会が邪魔である。


展示開始の時間になると、すぐに来客があった。広大の大学祭は展示がスタンプラリー(集めたらガラガラくじに挑戦)に対応しているので、学生一般問わず人が来る。みんなじっくりと絵を見てくれているようで、本当に有り難い。静かに音楽が流れる中、部屋いっぱいの絵に囲まれ、その間をゆっくりと歩む人々。とても気持ちの良い光景だった。


受付の仕事をしているときは、来てくださる人一人ひとりの性格を対応の中で感じ取れるから面白い。この展示は建物3階で行っているのだが、まず、階段から顔が覗いてこちらが挨拶を投げたときの、一瞬の反応でわかる。こちらと目を合わせるか合わせないか。受付の(展示作品を見ると解答できるクイズが条件の)スタンプにしか注目しないか。教室の入り口を見るか。
そして教室に入ってから出てくるまでの時間。また、出るときの歩く速度。出るときに入ろうとする人がいればどう反応するか。受付に問われる前にスタンプを押す部分を突き出してくるかどうか。要素は色々ある。これは総体の一部に過ぎないし、それぞれ事情というものがあるから一概に何か言えたものではない。しかしおおよその人は表情なり動作で判断できるので面白い。そして自分は性格悪い。
こういうイベントの時は子供も多く微笑ましい。ちびっ子に対応するときは自分の「ありがとうございました」は「ありがとう」に変わる(あんまり反応が無いから虚しいが)。たくさんの子供達を、ちょっと強気の女の子が仕切っている光景もあり、やっぱりこういうのって昔から変わらないんだろうなぁと思ったり。そういう賑わいもあり、自分が受付をした1時間は今日一番の来客数、106人だった。割って分あたり2人弱来られているんだから、これはすごい数字だろう。そして全体の入場者数は500人超え。これもすごい。


その後はサークルの人と一緒に展示や出店を歩き渡る。正直、祭りは1人じゃ寂しくて泣きそうになるので、連れがいてくれて非常に嬉しかった。ありがとう、お金ができれば何かおごらせてください。
大学祭の出店はやはり縁日のようにやきそばやたこ焼きのテントが並び、ソースが焦げるいい匂いを、大きな人の流れが運んでいた。客引き躍起になる学生。看板娘をたてるとこ、顔を真っ赤に染めるとこ。少し向こうから響いてくるバンドロックは人混みにちょっぴり掻き消され、むしろその音楽すら祭りのBGMを構成する一つの要素になり、ただただざわめきが盛況を飾る。前後左右に行き来して、ひたすら何かを食べたり見たりしていた。出店には「カエルの唐揚げ」など興味をそそるものもあったが、さすがに怖いので(そして足1本500円と高いので)それはやめておいた。


何枚か写真を撮った。久しぶりなので拙い撮り方になってしまったが、いつになく今日は「露出」を調整していた。
後になって見てみたときに、その時自分が選び取り込んだ光の量が、その時点での自分の心の躍動感を示していることに気付いた。逆光を恐れず撮った写真の中では、建物や人の輪郭から光がこぼれている。空の青さが清々しかった。


良い一日だった。この日は町全体が大学祭のために動いているような気がした。笑っている人がとてもたくさんいた。
明日は敢えて、フォーカスを使わず人混みを写してみよう。歩く人それぞれが、きれいな模様になりそうだから。