大学祭・2日目 (とりあえず文章版)

またしても徒歩で向かう。足が痛む頃には、大学だ。空は青々としている。


大学祭も日が変わると出店の様子が別のものに、つまり出店の種類が変わり、客引きの声や観客の歩き方も少し違って感じられた。昨日立ちこめていたソースの匂いがなりを潜め、今は甘い匂いが嗅覚を刺激する。どうやら今日は甘物も多いらしい。

最初に展示の会場へ行って挨拶、それから出店を一通り回ってみた。気になる食べ物は全て食べた。留学生が作ったチヂミが美味しかった。サイフはいよいよ硬貨で重みを増していく。
友人と会う。サークルで作っている大判焼きを勧められる。妙に上手い宣伝文句に乗って前売り券を3枚購入。後で食べたが、カスタードクリームのものに味が付いていなかった。他の物は美味だった。
他の友人とも会う。まさにサークルの出店で働いていた。たこ焼き作りに必死になる表情をカメラで1枚。後で現像して渡そう。


展示は今日も順調だ。多くの人に多くの作品を見て頂けて、本当に理想的な流れが出来ている。子供も多く、この中で1枚でも何かの絵に感動し、大きく影響を受ける子もいるのだろうか。そう考えると面白いな。そうなってくれると、嬉しいな。
またしても、自分が受付を担当した時間帯の来客数が一番多かった。


同じシフトの時間だった人と一緒に外を歩く。お菓子撒きが始まっていたので盛り上がりに加わってみる。空気抵抗が少ないのだろうか、小さいゼリーカップがよく後ろまで飛んでくる、が、落ちた途端に薄い容器が割れ、残念ながらその場で食べざるを得なかった。次は写真展にて、可愛い猫の写真を購入。展示自体、レベルの高い作品が多く楽しめた。やはり、写真は良い。これほど瞬間的に創り手の心を感じ取れるものもないだろう。元気が出た。
途中から、一人加わる。今朝までカラオケをしていたため疲れているはずだが、大丈夫だろうかと心配する。3人で「演劇喫茶」なるものを体験。近い例を出すと「ディナーショー」で、つまり飲んだり食べたりしながら演劇を楽しめるものだ。違う種の創作に触れ、自己表現の面白さを再確認。演劇には個人的に興味があるが、直接見たのは本当に久しぶりだ。用事のため途中で抜けたが、見ていてとても楽しかった。自分には「演劇」という可能性もあったのかもしれない。


気が付けば空の青に夕の赤が流れ込み始めている。星はどうやら見えないらしい。ひんやりとした空気がじわじわと上着を浸食していく。肌寒くなってきた。人もやや減り、売り子たちの声はいよいよ切実さを大きく含み始めてきた。祭が終わろうとしている。
サークルの人たちと遊んでいるうちに、展示も片付ける時が来た。人も揃い、てきぱきと教室を元の姿に変えていく。途中の会話で、同期生と妙に趣味が合っていることが発覚。やはり、あなたも好きですか、と思った。片付けはあっという間に終わった。


祭の最後には、花火が上がることになっている。先輩が気を利かせて、教室に集まって一緒に花火を見られるようにして下さった。どこから上がるのだろうかと、わくわくしながら待つ。


目の前、僅か50メートルも空かずのところから、大きな光がはじけた。


みんなから歓声が上がる。自分も声を上げる。花火は空を駆け上がり、ドンドンと咲いていく。
視界一杯に、星がきらきらと瞬いていた。
「これで終わりだ」と感じた。とても清々しい気持ちだ。終わりがあまりにも美しすぎて、この一瞬のために今まで頑張ってきたんだとまで思った。


終わりよければ全てよし、だなんて言うけれど、やはり最後が綺麗だと本当に気持ちが良い。
とても楽しい2日間だった。