ロバート・サブダしかけ絵本の世界展

昨日の日記で申し上げた通り『ロバート・サブダしかけ絵本の世界展』に行ってきました。
最終日ということもあり、午前10時頃に行っても既に行列が。幅広い年代層の人たちがいて、展覧会の人気・注目度の高さを感じました。


展覧会自体はとても面白いものでした。まずロバート・サブダの来歴があり(なんと9歳で既にしかけ絵本に挑戦していたのです!)、向かいには職場の再現がありました。デスク周りにはたくさんのフィギュアが並び、そして卓上には精巧なデッサンと数々の「飛び出すギミック」の試作品が。また、作者のデッサン画も飾ってあり、これがまた上手いものでした。そして印刷のための図版も。あの仕掛けは非常に多くのパーツを組み合わせて作ってあるので(1ページ25くらいだったかな?)、いかに手間が(量産するにしても)掛かっているかがよく分かりました。


そしてこれからが面白いところで、「しかけ絵本」の歴史についての説明が揃えてありました。リトグラフ登場以前の、本当に初期のしかけ絵本から、近代のものに至るまで、いくつかの貴重な実物本を添えて、しかけ絵本文化の変遷を知ることが出来ました。「のぞき絵」という、奥が長い紙袋に段々とパーツを設置し、袋に空けられた小さな穴をのぞき込むと、それらが遠近さえも上手く重なり合ってとても素敵な情景を見せてくれる作品も体験できました。こういう遊び心って本当に楽しいですね。


その後は完全にロバート・サブダの展覧会。代表作品『不思議の国のアリス』『オズの魔法使い』の(おそらく)全ページを、市販品の5倍くらいの巨大なサイズで再現。1ページごとに一冊の「本」があてがわれており、ボタンを押すとそれがゆっくりと開いていって、しかけ絵本の醍醐味(仕組みの巧さ)を味わうことが出来ました。アリスで有名なあのトランプが舞うシーンはギミックなしのジオラマで巨大化されており、それもまた圧巻。紙の芸術、ここにありといったところです。
後は恐竜のもの、海の生物のもの、クッキーのもの(実物おかしで再現のコラボあり)、クリスマスのもの、完全オリジナルの冬のもの。どれも本当に素晴らしい出来で、かつて触れたことのない芸術の、その神髄を感じることが出来たと思います。立体であるが故のバランスの巧みさや、色の重なり合い、そして影に至るまで計算されているその様子が凄い! 立ち止まり、また立ち止まり、じっと見つめ、ため息を漏らす。そんなことを繰り返し、気が付けば終点に辿り着いていました。


最後のお約束、物品販売コーナーは、サブダの飛び出す絵本はもちろんのこと、他の人のしかけ絵本や、簡単なしかけ絵本の作り方に関する本もあり、それぞれが飛ぶように売れていました。自分も欲しかったけれど、あれ、高いんですよね。さすがに学生に4000円の衝動買いは無理でした。いつかプレゼントに買えたらなぁと思います。


忘れてしまっていた、ページをそっ……とめくるときのドキドキ感。絵本を読んでももうあまり感じられなくなったその童心を、いくらかは思い出せた気がします。ちょっとだけ子供になれた、不思議な時間でした。