学長とのであい(ややグロ注意)

みなさんこんにちは、『相棒 劇場版』のチケットを売るときは「ペア料金」を「相棒料金」と改めるべきではないかと思っているpechonです。
映画? 見に行きますよー。



さて、今日からまた絶望の5日間が始まりましたね。休みまであと5日……4日……というように悶々としていると、もはや自分は休日のために平日を生きているのではないか、と錯覚に陥ってしまいそうになります。ちょっとちょっと、本題ずれてる(生きることについて)。


で、本日月曜日ですが、自分は「学問とのであい」という授業を取っています。


これは広島大学の各学部長が代わる代わるやってきて、好き放題、研究の話なり自分の話なりをされるという何とも風変わりなモノで、前回は総合科学部長、そして今回はなんと学長先生がやって来られました。


噂には聞いていたけど、やっぱり学長にはたくさんの取り巻きがいるのね。スーツ姿のおじさんがいっぱい。大講義室の後ろではビデオカメラをまわしていました。


現在の広島大学学長は医学系の方で、本日もそれに関する話。


最初は大学自体の話だったのですが、それは置いといて。
医学系の話、基本的に関わりのない分野でしたが、非常に興味深いものでした。


いや、興味深いも何も、いきなり肝臓の写真を見せられたりしたのですが。


びっくりしました。
手術のワンシーン、らしいのですが、もう……えぐい。
絵では表現しきれない、血の艶やかさというか、臓器のぬめりとした感触というか、とにかくもの凄い情報量がぐわーっとコチラめがけて突っ込んできました。怖い怖い。


うちの医学部はチーム医療の実習が出来ることがウリらしく、1年生はガイダンスでいきなり臓器の写真を見せられて、毎年半分近くの学生が気分を悪くして手当を受けるとか(そしてそういう写真を見せる先生は学生が気持ち悪がるのを見て喜ぶとか)、なかなか生々しいことをやっているそうです。
うーん、凄い世界だ。血が全くダメな自分には何も出来そうにない……。



で、話は戻って今日の写真。
話を聞きながら精一杯写真を見ようと試みたんですが、2分くらいで気分が悪くなってきました。


「これは、肝臓じゃない。焼き肉のワンシーンだ!」と無理矢理我が脳を騙してみようと試みたんですが、写真のインパクトはセルフマインドコントロールでは御し得ない程に大きかった……。
気分悪くなりました。ちょっとだけ。


で、ここで終わればまだ良かったのですが、さすが学長、サービス精神豊かです。



次は肝臓の接合手術の映像を流してくださいました。



ちょ……なんか、鼓動しているんですけど。
断面見えるんですけど。
隙間に血液が満ちているんですけど。


画面に映る手は、肝臓と肝臓の血管を縫合し、ホチキスのようなもので等間隔に閉じていく。
作業は見事な手さばき、チームプレイで、素人目にも「テキパキしているなぁ」と思いました。
見ててやっぱり気持ち悪くなったけど。


「こういうものを見せることで、学生さんたちのモチベーションがグンと上がるんですよね」という学長の言葉はまぁごもっともなんですが、やはり専門を志すわけでない人間には、単純に好悪の感覚でしか捉えられない……。確かに、医療は凄まじい世界だなぁと感嘆を禁じ得なかったのですが、実際の画に「気持ち悪い……」と生理的反応を起こしてしまうのは抑えられませんでした。あー、やっぱり苦手だなぁ。
自分は自分の出来る分野を頑張ろう。



で、本来の主題に戻って、今日聞いたすごく印象的な話。


前述の通り肝臓の話があったのですが、とくに、肝臓移植の話が凄かったです。



(ここから手元に資料がないため記憶に依る話になります。大筋は合っているはずですが、細かい部分が間違っている可能性があります……あくまでひとつの、ネットに転がるお話として、話半分にお聞き下さい。)



肝臓は殆どが血管でできた、とても再生力の高い臓器で、例えば肝臓癌になって、患部を手術で、全体の3分の1くらい?取ってしまっても、3週間もすれば元通りの大きさに治ってしまうそうです。
ただ、切除による処置では癌の再発率が非常に高いらしく、次に「移植」という手段が候補に挙がってきます。


当然これはドナーなど様々な条件がありますし、手術に手間がかかります。
拒絶反応を起こさないように、提供された臓器を洗浄しなければいけないし、接合手術も迅速に行わなければならない。
上で「気持ち悪い……」と騒いだ映像がそれだったのですが、やはりデリケートな作業なだけあり、大変そうです。


そして、数々の難関を乗り越えて手術が成功したとしても、また癌が再発してしまう恐れがあるそうです。


こうなるとどうすればいいのか……というところなのですが、何と、もの凄い発見がなされました。


提供された臓器を洗浄する、と書きましたが、その時流れ落ちた液の中に、とある細胞が含まれていることがわかりました。


その名も、「ナチュラルキラー細胞」。


詳しいことを書くと間違っていそうなので(というか現時点でも少し怪しい)簡単に書くと、それは癌細胞などに対する攻撃の活性・抑制をコントロールする作用があるそうです。


それぞれが活性と抑制の「手」を持っていて、両者の数が一致していれば、状態が安定するとか何とか。
で、結合手術の際に、このナチュラルキラー細胞を流し込んでやると、なんと癌の再発率が一気に下がったそうです。(今回言われたデータでは、ただの結合手術だと生存率70%だったのが、ナチュラルキラー細胞を用いることにより、生存率が100%になった!)


この分野に関心がある方には常識なのかも知れませんが、何というか、捨てていたものに救いが潜んでいた……というところにドラマ性を感じて、感動してしまいました。よく見つかったなぁ……。



で、もうひとつの話。


肝臓の移植手術だと、例えば小さい子供がドナーを必要としたときに、家族がそれを提供する場合がありますよね?


でも、大人の臓器は、移植しても子供にとっては大きすぎる。


ですが、ここが凄い話で。



子供にとっては「大きすぎる」臓器を移植しました。


その後、様子をみて、スキャンで検査します。


すると、「大きすぎた」肝臓は、まるで子供に合わせるように、小さくなっているんだそうです。



……はぁぁぁぁぁ!!(感嘆)


ど、どういうことだ!?
ここはまだメカニズムが解明されていないらしくて、細かいところは何も言えないとのこと。


個人的には、やはり血液の総量が大人と子供で違うから、殆ど血管で構成されている肝臓がそれに対応してサイズを変えていくのではないかと思いました。それで、余剰の血管はなんか別のものに還元される、みたいな。(あくまで素人意見ですが……)
臓器が無駄に大きいのはいけないんですよね、きっと。



……などなど、とても興味深いお話を聞くことが出来ました(ところどころ記憶が飛んでるけど)。


これからまた色んなお偉い方々のお話を聞くことになりますが、今回のように、場をよくわきまえられた、つまり自己論で終わらない学術的な内容だと良いなぁ。
大学って、その気になれば幅広い学問に触れられるところがステキだと思いますわ。