「に」と「へ」

相互リンクもしている方ですが、サークルの友人が助動詞の話をしていました。
自分も本当なら大学でそういうことをしたいので、関連する話題には飛びついちゃいます。


今回は「に」と「へ」の違い。
(「に」と「までに」は割愛します)


恐らく日本人なら無意識に体得していますが、どうして「に」と「へ」の違いがあるのか?
「に」が使用できて「へ」が使用できなかったりするのか?
説明するのは、また体系的に分類するのは難しそう。


ってことで、自宅に帰って軽く調べ物。
買ったけどそれ程読めているわけでもない、『助詞・助動詞の辞典』を開きました。
あ、読んでないだけで、本自体はなかなかの良著です。オススメ。


助詞・助動詞の辞典

助詞・助動詞の辞典


以下、引用を多数交えて、簡単な説明をします。


「に」と「へ」は基本的に「方向」という意味で共通しています。


参考図書によると、

帰着点を意味する「に」は方向指示への「へ」と置き換えが可。

と書かれ、その続きに、

ただし「の」を伴う「父への手紙」文型に限り「に」に置き換えられない。これは「父からの手紙」と対をなす言い方で、「〜から〜へ」の起点と、帰着点に向けての移動方向が一つのペアをなしている証拠である。

なんていきなりマニアックな方向へ話が進み、

したがって、移動を前提としない存在箇所を示す「に」は、「へ」に言い換えられない。

とシメています。
おおー、なるほどっ。


本には「頂上に立つ」→「頂上“へ”?」「日本に居る」→「日本“へ”?」「図書館にある」→「図書館“へ”?」などの例が挙げてあります。


自分自身の移動を意味する同士が結びつく場合にのみ、「に」と「へ」の置換が成り立つわけですね。ほうほう。


なお、続きに補足として、

事物に「に」や「へ」を用いると「椅子に座る」「ノートへ記入する」のように、モノ名詞はトコロ名詞へと変身する。「椅子」や「ノート」は物扱いではなく、行為を向ける場所としてとらえているのである。したがって、わざわざ「椅子の上に座る」「ノートの中に記入する」などと述べる必要はさらさらない。

と明瞭な記述があります。
モノ名詞、トコロ名詞って使い方、自分は普段しませんね。
面白い捉え方だなぁと思います。



それから、対人関係をにおける「に」と「へ」の使い分け、というより、使用可能かどうかの評価も記してありました。


要約すると、「に」はあらゆる人間関係に適応できて、「へ」は目上(年上?)の人にのみ適応できるようです。


本書の例文を挙げると、「先生に願い出る」「先生へ願い出る」は両方ともOK。「知事に(へ)伝える」「兄に(へ)伝える」も大丈夫だそうです。
しかし、「弟に行かせる」は「弟へ行かせる」と書き換えることは出来ず、「妻に働かせる」「学生に教える」なども無理らしい。
何か動詞が原因な気もしますが、まぁそういうことだそうです。


人間関係によって「に」と「へ」が分かれるなんて、あんまり意識しませんよねー。
つくづく日本語は奥が深いなと思いました。
そして、助詞・助動詞はやっぱり難しい!



本ではこの後「動詞を導くへ格文型」「疑問のある「に」の使い方」とマニアックさを増していきます。
ていうか約300ページにわたってこんなマニマニした話題ばっかりです。
読みごたえタップリ!


文章能力向上のためには、やっぱり助詞・助動詞、はたまた他の文法関係もよくよく習熟しないといけませんよねー。
精進します。もっと読まないと!








今日の話題にも出ていたのですが、「と」と「ば」の違いというのも、きちんと知ってみたい部分ではあります。実際のところ、どうなんだろう?
それも一応この本に載っているみたいなので、いつか記事にするかもしれません。