『モンスターハンターイラストレーションズ』

高〜い本を狩ってしまいました。
もとい、買ってしまいました。



知ってる人は知っている、『モンスターハンター イラストレーションズ』。
大学生協で注文したので1割引。
国の大切なお金をこういうものに使っちゃうよ!


さて、これは大ヒットゲーム『モンスターハンター』に関連するイラスト等を収録しまくった贅沢な1冊です。お値段も贅沢ですね。
寸法にして30.4 x 21.6 x 3.2 cm 、なかなかの大型本です。
なんとカラーパートとモノクロパートで2冊組。


中身は企画段階からのモンスターハンターのイメージイラスト、モンスター・武器・防具・キャラクター等のイラスト(没案多数)、ゲーム内に登場するアイコンデザイン、関連イラストなどが収録されています。ページ数は合わせて300ほどですが、1ページの密度がなかなか濃いので読み応えは抜群。
世界観の落としどころに迷っていた段階の絵には色々と遊びがあり、ひとつの作品が生まれる過程をかいま見た気分になれます。イラストは上に羅列したようにジャンル毎にまとめられているのですが、それらの間に収録されているデザイナー達へのインタビューがなかなか面白いです。語られることの少ない「ゲーム会社のデザイナー」の言葉が聞けるだけでも嬉しいし、どういう風にして企画をデザインに起こすかの話題は個人的にとても興味深かったです。語数は少ないですが、絵を描く人間は喜ぶでしょう。


メインコンテンツのカラーイラストについては、もう言うことがありません。
素晴らしいです。もともと、このゲームはデザイナーがかなり良い仕事しているなと感心して購入しましたので、まさに期待通り。
モンスターなどのイメージイラストに書いてあるグラフィカーへの指示にもこだわりが見て取れ、また、随所に書かれたモンスターの生態など、ゲームでは知ることの出来ない設定(もちろん、没になった案もだけど)がわかってそれも楽しい。
そして何より、絵描きとして嬉しいのは「没案」ですね。没案まで収録されているということは、つまりこの本にはデザイナーの試行錯誤がほぼノンカットで収録されているということで、また、どのようにしてアイデアを取捨選択したか、その過程(優先度の設定)も垣間見ることが出来るからです。
モンスターもさることながら、防具イラストには没案がかなり収録されていました。
最初は防具自体にもギミックを取り入れる案があったのですねー。でも、そこまでするとゲームが煩雑になりすぎる。今のゲームデザインで正解だと思います。
他の絵も個性が溢れており、非常に参考になります。
やっぱりプロの仕事は凄いですね!


次にモノクロの方ですが、こちらはラフ画が多いです。(当たり前ですが)
でもやっぱり上手ぇぇぇぇ! こういう風にしてデザインを作り上げていくのかー、と勉強になります。カラーもですが、動きを表現しているんですね。アクションをさせていたり、それぞれポーズを変えていたり。
また、ちょこちょこメモがしてあって、「○○だからここは××みたいな感じになる」と、モンスターのデザインに理由を持たせています。(生態があるからこそ、それに準じた形になるといいますか)
このゲームのデザインは凄く立体感、質量があるなぁといつも思うんですが、それはやっぱり、こうやって設定が重厚になされているからなんですね。思考の蓄積のなせる技です。凄い!


あとちょっとマニアックなんですが……真島ヒロの漫画版に出てきた「鞭」が、モノクロの方にちょこっと載ってました。やっぱり色んな武器案が出ていたんですねー。



……自分に書けるのは大体こんなところです。
ただいま構想中の物語があって、それのデザイン周りの参考にしたくて買いましたが、大満足です!
読み過ぎると影響受けちゃうからそれはそれで危ないのですが(汗)、いやしかし面白いから読んじゃうよ!
改めて、カプコンのデザイナーはレベル高いなぁ、と感じた1冊でした。
値は張りますが、オススメです。









無理矢理難点を挙げるとすれば、本が横長なので、縦に引き出す箱から取り出しにくいということ、紙の質は悪くないけど柔らかいからペらっぺらして、個人的には辞典のようにかっちりとした1冊組みの造本でも良かったのではないか、というところです。
しかしあくまで個人的要求に留まるし、中身が素晴らしいのでちっぽけなことです!